WESとは

今、物流業界で話題のWESですが、新しいシステムであるため実態が分かりにくいですね。

WESとは、Warehouse Execution Systemの略で、日本語では倉庫実行システムと言われるものです。 先行して普及しているシステムにMESがあります。こちらは、生産実行システムで、生産管理システムの後工程となります。 WESは、WMSの後工程で、主にロボットへの作業指示を一元化する役割かと思います。

最新のほとんどの物流ロボットには、WCS(Warehouse Control System)倉庫制御システムが提供されていますので、WESは、WMSとWCSの間を取り持って、最適化したデータを受け渡すシステムであると言えます。

それでは、最適化したとはどのような定義でしょうか? ロボットだけでは、物流作業が完結できないため、ロボ×非ロボに作業指示を分ける作業やバッチの組み方を最適化すると定義できます。

WESに関しては、いろいろな資料がWeb上に公開されていますが、机上の空論が多く見受けられるようです。現場の理解が浅い方は推測で書かれている情報が多く存在するようです。

WESにはどのような種類があるか?

提供会社により3種類のサービスが提供されています。WMS会社が提供しているWESを利用するのが一番簡単にロボット活用できると思います。

提供会社 課題
WES専業会社 WMS、WCS両方の接続が必要となり、開発費が割高となる。また、WMS側も大きなカスタマイズが必要となる。
WMS開発会社 WMS・WES両方が提供されるので、WESとWCSの接続だけが課題となる。
ロボットメーカー(WCS開発会社) 他社のWCS(ロボット)への接続がやりにくい。

WESのシステム要件とは

WESに必要なシステム要件を整理した資料は公開されていません。
物流現場とロボット、WMS全部を理解している人が少ないからとそれほど多く導入・運用経験者がいないことに起因すると思われます。

以下に簡単に取りまとめましたので、ご参考になればと思います。

システム要件 課題内容
複数荷主でロボを利用したい 1荷主だけでロボを利用するとROIの回収年数が長すぎるので、複数荷主で利用したい。
この場合、WMS上は非常に難しくなります。通常、WMSは荷主別に分けた処理をしていますので、荷主横断的にデータを連携する機能がありませんので、カスタマイズが必要となります。
帳票、ラベル発行システム 帳票類(ラベル・納品書・送り状など)前出し印刷では運用できないので、後出しの仕組みが必要となる。
納品書、送り状の後出しはシステム改修の難易度が高い。
ロボ送信データの最適制御 ロボに送信するピッキングデータを最適化する仕組みが必要である。
ロボピック、人間ピックの似合わせ機能 同一注文がロボロケ、人間ロケに分離した場合、似合わせ機能が必要となる。
運用設計で分離しないようにする方がベターであるが、ロボロケに格納不可の商品がある。
商品3辺サイズ、重量の記録 WMS運用では、商品3辺サイズ、重量情報は不要であるが、ロボット運用の場合は必須となる。
効率的に計測する仕組みが必要となる。
ロボへの在庫補充を最適化したい 回転率の高い商品などは、ダウブルトランザクションで運用したい。
WCSとのシステム連携 WCSとのシステム連携開発が必要となる。
出荷優先度制御を行いたい 緊急出荷対応が必要になる場合がある。
優先度事業制御(Nice to have機能)を複雑にするとシステム開発が複雑になるので避けたい。

オリコン管理とは

オリコン管理機能とは、ロボを利用する際に送り状やラベル、納品書の後出し印刷が不可欠となるため,オリコンを活用し、 オリコンに注文番号のバーコードなどを添付し、オリコンと注文番号の紐づけ管理を行うシステムです。

以下のように機能が必要です。
・オリコン利用ステータス管理
・オリコンに注文番号/作業指示を紐づけ
・帳票後出し印刷システム(搭載)と連携

ロボ利用の最大の課題は、帳票対応であり、オリコン管理でペーパーレス運用を実現することが可能となります。
オリコン管理機能を標準で実装しているWESを利用するのがベターであると考えられます。

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